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金庫は何十年も使える?耐火金庫・防盗金庫の違いと寿命、開かない時に業者へ伝えること

金庫には「火事から守る金庫」と「泥棒から守る金庫」があり、
性能も、寿命の考え方もまったく異なります。

そして意外と知られていませんが、金庫の耐火性能には寿命があります。

この記事では、耐火金庫と防盗金庫の違い、金庫の寿命の目安、
そして開かなくなった時に業者へ伝えるべきことを、鍵屋の視点で解説します。

「金庫はどれも、火事にも泥棒にも強いものだと思っていました」

実際、そう思っている方は少なくありません。
金庫と聞けば、重くて頑丈で、中に入れた現金や権利書、貴重品を何からでも守ってくれる箱を想像しますが、金庫にはそれぞれ役割があり、火災から中身を守ることを重視したものと、泥棒による破壊や持ち去りへの抵抗を重視したものでは、構造も性能も大きく異なります。

一般に「防火金庫」と呼ばれることもありますが、正式には「耐火金庫」といい、金庫は大きく分けると、この耐火金庫と防盗金庫の2種類です。さらに、ダイヤル式やテンキー式、鍵式、指紋認証式といった違いもありますが、これらは金庫が何から中身を守るかという種類ではなく、扉を開ける方法の違いです。

自宅や会社にある金庫が耐火金庫なのか防盗金庫なのかを知らないまま使っていると、入れている物に対して必要な性能が足りない可能性があるだけでなく、突然開かなくなった時にも、業者が必要な工具や作業時間を事前に判断できず、現地へ行ってから後日対応になってしまうことがあります。

目次

耐火金庫は、火災から書類を守るための金庫です

一般家庭で多い小型の耐火金庫。火災から書類を守ることを主眼に作られています。

「家庭にある金庫は、盗まれないための防盗金庫だと思っている方が多いんです」

コバヤシが現場で金庫の話をすると、最も多い勘違いがここです。
日セフ連によると、一般家庭で主に使われているのは耐火金庫であり、耐火金庫は防盗性能よりも耐火性能を重視したもの、防盗金庫は耐火性能よりも防盗性能を重視したものと定義されています。

耐火金庫は、火事が起きた時に、金庫の中へ熱が伝わるのを一定時間抑え、権利書や契約書などの重要書類を守るために作られています。

JISでは耐火性能によって、30分、1時間、2時間、3時間、4時間の5種類に分けられており、一般紙用の耐火試験では、試験中の庫内温度が177℃以下に保たれ、中へ入れた新聞紙が著しく変色や劣化をせず、読める状態であることなどが合格基準となっています。

つまり、耐火金庫は「火事になっても中が常温のまま」「入れた物がまったく傷まない」という箱ではなく、規定された時間、書類を判読できる状態に保つための金庫です。

また、紙とデータでは熱に耐えられる温度が違うため、一般紙用の耐火金庫とは別に、データ記録媒体を守るための基準も設けられています。日セフ連が案内するフレキシブルコンピュータディスク用の基準では、庫内温度52℃以下、湿度80%以下とされており、契約書や権利書を入れるのか、熱や湿気に弱い記録媒体を入れるのかによっても、選ぶべき金庫は変わります。

火災から守りたいのか、盗難から守りたいのか、紙を入れるのか、データを入れるのかを考えず、単に大きさや値段だけで金庫を選んでしまうと、万が一の時に期待していた性能を得られない可能性があります。

重い金庫でも、防盗金庫とは限りません

100kgを超える大型金庫もあります。家庭用とは必要な工具も作業時間も大きく異なります。

防盗金庫は、泥棒が金庫の扉や施錠部分を工具で壊したり、金庫そのものへ穴を開けたりすることを想定して作られています。

日セフ連では、ドリルやハンマーなどの工具による破壊や、バーナーによる溶断にどれだけ耐えられるかを試験し、攻撃に耐える時間によって等級を分けています。試験では、施錠装置への攻撃、扉のこじ開けやカンヌキを開放する試み、金庫内部へ侵入口を開ける試みなどが行われます。

コバヤシが現場で分かりやすく説明する時には、腰ほどの高さがあり、100kgを超えるような業務用金庫を一つの目安として話します。もちろん、大きさや重さだけで耐火金庫か防盗金庫かを断定することはできませんが、防盗金庫は内部の耐火材や防御構造も厚く、家庭用の小型耐火金庫と比べると、非常に重く作られているものが多くあります。

一方、一般家庭でよく見るミカン箱ほどの金庫は、30kgから50kgほどあるものでも、複数人であれば持ち出せる可能性があります。重いから安心だと思っていても、耐火性能を中心に作られた金庫であれば、それだけで持ち去りや破壊に強いとは限りません。

小型金庫でも、金庫を開けた内側から床へボルトで固定するなど、持ち去りにくくする方法はあります。
日セフ連でも、金庫固定や床構造に応じたアンカー施工などを持ち去り対策として案内しています。

また、防盗金庫の中には、ダイヤルや玄関シリンダーにあたる施錠部分を破壊しようとした際、内部の追加ロックが作動する「リロッキング機構」を備えたものがあります。コバヤシによると、この機構が作動すると、通常の鍵開けとは違い、扉の上下左右に追加のロックがかかるため、開ける作業は非常に難しくなります。

家庭用の耐火金庫と業務用の防盗金庫では、同じ「金庫が開かない」という依頼でも、必要な工具、作業方法、作業時間がまったく違うのです。

金庫の寿命は約20年|開け閉めできても耐火性能は落ちています

金庫は壊れるまで一生使えるものだと思われがちですが、日セフ連では、耐火性能の有効耐用年数の基準を製造後約20年としています。

ここで注意したいのは、20年を過ぎた瞬間に扉が開かなくなったり、金庫として使えなくなったりするわけではないということです。鍵やダイヤルが動き、普段どおり物を入れられるため、何十年も使い続けている方は少なくありません。

しかし、「扉が開くから使える」ということと、「火事の時に中身を守れる」ということは同じではありません。

耐火金庫の内部には、熱が中へ伝わるのを抑えるための耐火材が使われており、その耐火材に含まれる水分が火災時の温度上昇を抑える役割を果たします。

日セフ連が行った経年変化調査では、製造後20年が経過すると、耐火材に含まれる結晶水と自由水を合わせた水分量の約20%が失われ、それに伴って耐火性能も低下するとされています。設置環境や使用条件によって低下の程度は変わりますが、古くなった金庫では、表示されている耐火時間を十分に発揮できない可能性があります。

「防火用として買った金庫だから、古くても火事になれば中身を守ってくれるだろう」と思っていても、製造から20年、30年と経過していれば、本来の目的を果たせない場合があります。

特に、親から譲り受けた金庫や、中古住宅、事務所、店舗などに以前から置かれていた金庫は、いつ購入したかではなく、いつ製造されたものなのかを確認する必要があります。現金や権利書、契約書など、失ってから取り戻すことが難しい物を保管しているなら、一度、メーカー名や型番、製造年月、性能表示を確認しておくことが大切です。

日セフ連では、耐火性能や防盗性能を表すマークについても案内しており、耐火性能のマークに表示された数字は時間、防盗性能のマークに表示された数字は分を表します。また、注意表示は金庫の扉の裏側に貼られている場合があります。

※この20年という目安は、鍵屋の経験則ではなく、業界団体である日セフ連が公式に定めている基準です。※記事末尾に出典

自分の金庫を知っておくと、開かない時の対応も早くなります

金庫の種類や施錠方式によって、使う工具も作業方法も変わります。

金庫が突然開かなくなった時、お客様からは「金庫が開かないので来てください」とだけ連絡をいただくことがあります。

しかし、業者側から見ると、家庭用の耐火金庫なのか、100kgを超える防盗金庫なのか、鍵式なのか、ダイヤル式なのか、テンキー式なのかによって、持っていく工具も必要な機械も変わります。

ダイヤル式は、一般的なものでは右へ4回、左へ3回、右へ2回、左へ1回と、決められた番号を通過させながら合わせていくため、操作方法が分からず開かなくなっている場合もあれば、内部部品の不具合で開かなくなっている場合もあります。
テンキー式であれば、電池切れなのか、暗証番号の問題なのか、電気部品が故障しているのかによって対応が変わります。

さらに、業務用の防盗金庫でリロッキング機構が作動している場合は、家庭用金庫と同じ準備で現場へ行っても対応できません。

そのため、コバヤシへ金庫のトラブルを相談する際は、まず金庫全体と鍵、ダイヤル、テンキーなどの操作部分を撮影し、確認できる場合はメーカー名や型番、性能表示も一緒に送ってください。
金庫のおおよその大きさや設置場所、鍵をなくしたのか、番号が分からないのか、操作しても反応しないのかといった現在の症状も分かれば、必要な工具や作業時間を事前に判断しやすくなります。

何の情報もないまま現場へ伺い、そこで初めて大型の防盗金庫だと分かれば、必要な機械や人員を準備するために、後日あらためて作業しなければならないことがあります。反対に、事前に写真や型番、金庫の種類が分かっていれば、最初から必要な準備をしたうえで伺えるため、状態によっては即日対応できる可能性が高くなります。

金庫の種類を知ることは、購入する時だけの話ではありません。

今使っている金庫が、何から中身を守るためのものなのか、製造されてから何年経っているのか、どのような方法で扉を開けるものなのかを把握しておくことで、火災や盗難への備えを見直せるだけでなく、突然開かなくなった時にも、業者へ正確に状況を伝えられます。

何十年も開け閉めできているから大丈夫だと思うのではなく、まずは一度、自宅や会社の金庫の扉裏や表示を確認してみてください。

参考資料

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「金庫の賢い選び方」
https://www.nihon-safe.jp/capability/

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「耐火金庫について」
https://www.nihon-safe.jp/capability/taika_kinko.html

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「防盗金庫について」
https://www.nihon-safe.jp/capability/boutou_kinko.html

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「金庫の耐用年数」
https://www.nihon-safe.jp/capability/taiyou.html

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「性能表示マーク等」
https://www.nihon-safe.jp/capability/kinou_hyouji.html

日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会(日セフ連)「金庫のガイドライン」
https://www.nihon-safe.jp/guideline/

金庫のことで、こんなお悩みはありませんか。

・自宅や会社の金庫が、耐火なのか防盗なのか分からない
・製造から20年以上たっているかもしれない
・ダイヤルやテンキーが反応せず、開かなくなった

金庫が開かなくなった時は、まず金庫全体・操作部分(鍵/ダイヤル/テンキー)を撮影し、
確認できればメーカー名・型番・性能表示も一緒にお送りください。

事前に種類や状態が分かれば、必要な工具を準備して伺えるため、
状態によっては即日対応できる可能性が高くなります。

画像確認・お見積もりは無料です。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

1998年より鍵とドア修理一筋で、現在は年間1200件の修理実績を持つドア修理のプロフェッショナルとして活動。
特にドアクローザー交換は全国トップクラスの実績を持つ。
イタリア・キーライン社での鍵と錠前の技術研修を経験、日本ではウッドリペアマイスター2級を取得。
川越市在住の地域密着店主として、地域防犯推進委員も務め、防犯啓蒙活動に努める一面も。
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