ドアクローザーが壊れていても、
「ちょっと勢いよく閉まるだけだから、そのうち直せばいいかな」
と思って、そのまま使ってしまうことがあります。
でも、実はこの状態、想像以上に危険です。
ドアに挟まれる事故は、決して珍しいものではありません。
東京消防庁は、子どもの「はさまれ」事故の原因で一番多いのは手動ドアだと紹介していて、指の切断に至ることもあるため、ドアの開閉時には注意が必要だと呼びかけています。
消費者庁も、ドアや窓の開閉時に子どもが指を挟み、骨折や切断に至った事例が実際に報告されていると注意喚起しています。
普段は何気なく使っているドアですが、閉まる速さが変わるだけで、事故の起きやすさは大きく変わります。
この記事では、ドアクローザーが正常に働いているときと、壊れているときで何が違うのか、そしてその差がどんな危険につながるのかを、現場目線でわかりやすく整理していきます。
ドアで実際に起きている事故

ドアの事故というと、そこまで大きなケガにはならないように思われがちです。
ですが、実際のデータを見ると、そうとは言い切れません。
消費者庁は、医療機関から寄せられた事故情報として、保護者が子どもに気づかずドアを閉めて骨折した事例や、蝶番付近に指を挟んで指先が切断された事例を紹介しています。さらに東京消防庁によると、平成28年から令和元年までの4年間に、12歳未満の子ども15人が、ドアによる指などの切断で救急搬送されています。
また、消費者庁は2024年の注意喚起でも、こどもがドアのすき間に触れていると、挟まれてけがをする危険があること、開いているドアは風などで急に勢いよく閉まることがあると案内しています。
東京消防庁も、5歳以下の乳幼児の「はさまれ」で救急搬送された事故原因の中では、手動ドアが最も多く、令和3年までの5年間に、ドアや自転車、ピアノの蓋などによる指の切断事故が14件発生しているとしています。
こうして見ると、ドアの事故は「めったに起きない特別な事故」ではなく、日常の中で実際に起きている事故だとわかります。
なぜドアで事故が起きるのか
ドアの事故で怖いのは、「気づいたときには、もう閉まりかけている」という状況が起きやすいことです。
たとえば、風で急にドアが閉まったり、後ろから来ていた子どもに気づかなかったり、ゆっくり閉まると思って手をかけたままにしてしまったり。こういう場面では、人が反応する前にドアが動いてしまいます。消費者庁も、開いているドアは風などによって急に勢いよく閉まることがあるとして、ドアストッパーなどの活用を呼びかけています。
特に危ないのが蝶番側です。ここはすき間がほとんどなく、指が入ってしまうと逃げ場がありません。
東京消防庁も、子どもの「はさまれ」の原因として手動ドアが多く、狭いすき間でも手や足が入ってしまうことを指摘しています。
ドアクローザーの役割とは
ここで大事になるのが、ドアクローザーの役割です。
ドアクローザーは、ただドアを閉めるための部品ではありません。
ドアが急に閉まらないように、閉じる速さをコントロールするための装置です。RYOBIでも、ドアクローザーには第1速度区間と第2速度区間があり、ドアを90度開いた状態から閉じるまでの時間は5〜8秒が適正だと案内しています。
つまり、正常に動いているドアクローザーは、ドアをゆっくり閉めることで、人がその動きに気づき、手を引いたり体を避けたりする時間をつくっています。
それだけではありません。ドアクローザーがきちんと働いていれば、仮に指や手が挟まれてしまったとしても、閉まるスピードが抑えられている分、強い力が一気にかかりにくくなります。
もちろん挟まれないのが一番ですが、万が一のときでも、大きなけがにつながるリスクを下げる役割があります。
ドアクローザーが壊れているとどうなるか
一方で、ドアクローザーが劣化したり壊れたりすると、ドアの動きは大きく変わります。
閉まるスピードが速くなったり、最後にバタンと強く閉まりきったり、風の影響を受けやすくなったりします。
RYOBIも、ドアクローザーの速度は調整によって適正範囲に保つ前提で案内していて、正常であれば閉まる動きは一定にコントロールされます。逆に言えば、その制御が効いていない状態は、本来の安全な動きから外れているということです。
現場でも、油が抜けてしまったドアクローザーや、油やバネなど内部の劣化が進んだドアクローザーは、かなりの勢いで閉まることがあります。そうなると、避ける時間もなく、力強く閉まるので大怪我に繋がってしまいます。
「ちょっと強く閉まるだけ」と思っていても、実際には事故のリスクが高い状態になっていることは少なくありません。
特に注意が必要なのは子どもと高齢者です

この危険は誰にとっても無関係ではありませんが、特に注意したいのは、小さな子どもと高齢の方です。
東京消防庁は、子どもの「はさまれ」事故の原因で最も多いのが手動ドアだとしていて、消費者庁も子どもがドアの近くで遊んだり、すき間に手をかけたりすることの危険性を注意喚起しています。
また、高齢の方は反応が遅れたり、重いドアの動きに対応しきれなかったりすることがあります。
大人なら避けられるような動きでも、避けきれずに挟まれてしまうことがあります。
だからこそ、家の中に子どもや高齢の方がいる場合は、ドアクローザーの不具合を「少し不便」ではなく、「事故につながるかもしれない変化」として見た方が安全です。
放置するとどうなるか

ドアクローザーの不具合は、放っておいて自然によくなるものではありません。
最初は「少し速いかな」と感じる程度でも、そのまま使っているうちに、バタンと閉まるようになったり、途中で制御が効かなくなったり、最後に強く閉まりきるようになったりします。消費者庁や東京消防庁が示している事故例を見ると、骨折や切断に至るケースもあり、ドアの開閉を軽く見てはいけないことがわかります。
つまり、違和感の段階は「まだ大丈夫」ではなく、「今のうちに対処した方がいい」タイミングです。
コバヤシの見解
ドアクローザーは、単にドアを閉めるための部品ではなく事故を防ぐための安全装置です。
ゆっくり閉まるから避けられる。ゆっくり閉まるから、万が一触れてしまっても力が一気にかかりにくい。
逆にそこが壊れていると、重いドアが勢いよく閉まり、人が反応する前に事故につながったり、ドア周辺の鍵周りや蝶番などの破損にもつながったりします。
特に、子どもや高齢の方がいる家庭では大変注意が必要です。
少しでも閉まり方に違和感があるなら、「そのうち」ではなく、早めに専門業者へ連絡するのが安心です。
まとめ
ドアクローザーが正常に機能しているかどうかで、ドアの安全性は大きく変わります。
ゆっくり閉まる状態であれば、手を引いたり避けたりする時間があり、仮に触れてしまっても大きな力がかかりにくくなります。反対に、勢いよく閉まる状態では、避ける時間がなく、事故につながる可能性が高くなります。
東京消防庁や消費者庁が注意喚起している通り、ドアの指挟み事故は実際に起きています。
だからこそ、「少し勢いが強いだけ」と軽く見ず、違和感があれば早めに点検や交換、専門業者への相談を考えることが大切です。


