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第二回:なぜ突然止まるのか──無線スマートロックの弱点

真冬の深夜に突然締め出される──スマートロックで感じた命の危険
では、真冬の締め出しが命に直結することを書きました。

では、なぜそんなことが起きるのでしょうか。

電池残量は80%と表示されていた。
低電力通知も出ていなかった。
前日まで普通に使えていた。

それでも、突然止まった。
これは偶然ではありません。

電池式スマートロックの構造を考えれば、起こり得る現象です。

目次

電池残量80%でも止まる理由

多くのスマートロックは、電池の“電圧”を基準に残量を推定しています。

しかし電池は、寒さや負荷のかかり方によって出力が大きく変わります
特に冬場は、内部抵抗が上がります。

すると何が起きるか。
表示上はまだ残っていても、モーターを回す瞬間に電圧が一気に落ちることがあります。

スマートロックは内部のモーターでサムターンを回します。
その一瞬に必要な電力が足りなければ、基板は動作を停止します。

残量表示は“目安”であって、動作を保証する数値ではありません。
ここに大きな誤解があります。

電子は“徐々に壊れない”

招待制のフキ展示会に招待され、スマートロックの勉強して来たコバヤシ

機械式の鍵であれば、前兆があります。

重くなる。
引っかかる。
違和感が出る。

しかし電子制御は違います。

昨日まで普通に動いていたものが、今日突然、無反応になります。
電子機器は「動く」か「動かない」か。
中間がほとんどありません。

これが突然死と呼ばれる理由です。

後付け構造の限界

多くのスマートロックは、既存のサムターンの上から取り付ける後付け型です。
本来は人の手で回す想定の部品を、小型モーターで動かしています。

ドアの建て付けが少しでも重ければ、必要なトルクは上がります。
トルクが上がれば、消費電流も増えます。

消費電流が増えれば、電池の消耗は早まります。
設置環境や使用頻度によって、寿命は大きく変わります。

「まだ1年持つはず」という表示は、必ずしもその家庭の環境を保証するものではありません。

自動施錠という両刃の剣

スマートロックの便利な機能のひとつが自動施錠です。
閉め忘れを防ぐ。防犯上は有効です。

ですが同時に、自分を自動で締め出す機能でもあります。

ゴミ出しの数十秒。
宅配の受け取り。
子どもの迎え。

その瞬間に施錠され、そして開かない。
理由としてはシンプルです。

物理キーを外すという選択

最近は「鍵を使わないから」と物理シリンダーを外してしまうケースもあります。

見た目はすっきりします。
確かにスマートです。

ですが電池が切れた瞬間、物理的な逃げ道はなくなります。
電子が止まったとき、開ける手段が残っているかどうか。

ここが安全性を分けます。

問題はメーカーだけではない

今回の件を特定の製品だけの問題と捉えるのは簡単です。

しかし本質はそこではありません。
電池式である以上、電子制御である以上、止まる可能性は常にあります。

重要なのは、「止まったときにどうなる設計か」という一点です
故障時に施錠状態のままなのか。それとも物理で開けられるのか。

ここが決定的な違いになります。

フェイルセーフという考え方

安全設計の世界では、異常時に安全側に倒れる構造を“フェイルセーフ”と呼びます。

火災時には開く。停電時も内側からは必ず出られる。鍵も同じです。
壊れたとき、閉じ込める仕組みなのか。それとも逃げ道を残す仕組みなのか。

スマートロックを選ぶとき、本当に見るべきなのはそこです。

真冬の深夜に止まったあのドアは、偶然止まったわけではありません。
電池式という構造の中で、条件が揃った結果です。そしてその条件は、どの家庭でも起こり得ます。

次回、締め出されないための設計とは何か。
電子に任せきらないという選択について、具体的にお話しします。

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この記事を書いた人

1998年より鍵とドア修理一筋で、現在は年間1200件の修理実績を持つドア修理のプロフェッショナルとして活動。
特にドアクローザー交換は全国トップクラスの実績を持つ。
イタリア・キーライン社での鍵と錠前の技術研修を経験、日本ではウッドリペアマイスター2級を取得。
川越市在住の地域密着店主として、地域防犯推進委員も務め、防犯啓蒙活動に努める一面も。
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